バナナペーパーって聞いたことあります?
バナナペーパーとは、通常なら廃棄されてしまうバナナの枝や茎(繊維)を使って作られている紙のことです。
日本からは遠い、アフリカ南部のザンビアという国では、昔からバナナの生産が盛んで、農薬や化学肥料に頼らないオーガニックバナナの畑が広がっています。
バナナは、一本の茎から一度しか実がならないため、収穫のときに切った茎は廃棄され、またそこから一年以内に再生し新しいバナナが育ちます。
その収穫時に廃棄されていたバナナの実以外の部分を、日本の和紙の技術を使い加工して、紙として再利用するという、アフリカと日本のパートナーシップによって生まれた、とても美しいエコペーパーです。
2016年には日本で初めてWFTO国際フェアトレード認証の紙(バナナ繊維20%以上配合のみ)として注目されました。
なぜ地球を救うの?
国連の報告によると、2015年以降毎年失われる森林の面積は、約10万平方キロメートル。これは東京都と同じくらいの大きさの森が、今も1週間ごとに失われ続けているということです。
こういった失われた木々が、再び成長するためには10年から30年かかります。
ではバナナの木はどうでしょう?
まず第一にバナナペーパーの原料であるバナナは、収穫時に木を切る必要がありません。
そして収穫時に切られたバナナの茎や枝は、1年以内で再生、成長します。
また、茎や枝は通常なら捨てられる廃棄物なので、廃棄物の有効活用にもなります。
さらにザンビアの平均寿命は55歳(日本は88歳)。この原因のひとつが貧困です。安全な飲み水や栄養のある食事が手に入りにくく、病院も少なく助かる命が助からないという現状があります。バナナペーパーの生産は、こういった貧しい地域に雇用を生み、貧困解決にもつながります。
最後にこのザンビアのバナナペーパーは、売り上げの一部が現地の教育支援へ流れ、学校に行けない子供たちや女性が基礎教育を受けられるという、「環境問題」「貧困問題」「教育問題」といったさまざまな国際的な課題解決にもつながっていて。まさに地球を救う紙といっても過言ではありません。
SDGsのよい事例です!
SDGsの17の目標は「誰一人取り残さない」ということが一つの大きなテーマとなっています。
日本を含めた先進国では、ある一定以上の生活が保障されていますが、そうじゃない国の人々は安全な飲み水さえ保障されていません。
SDGsの「持続可能な開発」というのは、先進国が失ってしまった豊かな自然や生物多様性を守りながら、誰一人取り残さないように、人間社会を発展させていくという、きわめて難しいプロジェクトだと思います。
しかしこのバナナペーパーの例では、日本とアフリカというまったく環境の違う2つの国が、それぞれの国の特徴を活かして持続可能な一つの産業を生み出すことに成功しています。
こういった活動はSDGsの観点から全世界で注目され、アフリカの今後のサステナブル(持続可能)な発展が期待されています。
こういった新しいイノベーションにSDGsの推進は大きく貢献できるため、今多くの企業がSDGsへの取り組みを進めているのだと思います。
今後世界中でこういったSDGsのよい事例が増えていけば、きっと明るい未来が待っていると信じています。